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贅沢な時間 [こんなことあんなこと]

転居してから10か月が経とうとしている。
よく「慣れましたか?」と聞かれるたびに、うーんと考え込む。
「慣れた」というのは「戸惑いがなくなった」ということだろうかと思うのだが、この1年半、ずっとステイホームしているので、戸惑う機会も迷う機会もほとんどないのである。
何しろ外出と言えば、2日ごとに隣のスーパーと往復するくらいなものなのだ。
これを「慣れた」といっていいのだろうか。

家の中は、引っ越す動機ともなった、物が部屋にあふれかえっている状態とまではいかないものの、何年も住んでいるような生活感があふれてきた。

新しい日常といえば、かかりつけのお医者さんと美容院。
結局、内科は近くの医者に変えたが、歯医者さんはもといた文京区まで通うことにした。
そこに通い出す前は、歯医者といえば、虫歯になったり、詰め物が取れたりしたときに、ちょこちょこッと直してもらうだけだったのだが、今の歯医者さんは、月1回、ものすごく丁寧にお掃除してくれて、歯や歯茎が痛くなることもなくなったからだ。

問題は美容院だった。
近くの美容院に2度ほど通ったのだが、毎回違う美容師で、出来上がりも満足のいくものではなかった。
それで、歯医者同様、もとの美容院に戻ることにしたのだが、担当してくれていた男性の美容師さんが7月くらいに独立して、新しく美容院を開いたのだ。

根津の静かな住宅地に建った、2-3階が住居の小さなお店。
完全予約制で、椅子も一つ。
助手も雇わず、すべて一人でやっている。
最初に地図を見ながら行ったときには、少し道に迷っていたら、美容師さんが店から探しに出てきてくれた。

先日、3回目だったのだが、シャンプーしてもらっていると、しみじみ「なんて贅沢な時間だろう」という感動が沸き上がってきた。
何しろお店の外も静かだが、美容師さんもこちらが話しかけなければ、ずっと静かに手を動かしていてくれるのだ。
あとは、落ち着いた音楽が流れているだけ。

今までのお店には若い男女の美容師さんがたくさんいて、お客と結構話が盛り上がって、時々静かにしてくれないかなあと思ったこともあったし、実際、そうお願いしたこともある。

指名制で、カットやパーマなどのメインの施術は、決まった美容師さんがやってくれるのだが、シャンプーやセット、カラーリングなどは、若い人がやってくれ、指名の美容師さんはその出来上がりをチェックし、仕上げをする仕組み。
いわば、分業と流れ作業なのだ。
これまではそれが普通だと思ってきた。

だが、1人の美容師さんがすべて自分にかかわってくれる。この時間と空間が私のためだけにある。なんという贅沢感。

落ちた髪の毛を集めるのもその人がやってくれて、申し訳ないような気持ちさえする。

そう感じて、思わずそのことを言わずにはいられなくなり、伝えたら、意外だったようで、美容師さんも驚いて喜んでくれた。

そうなんだよなあ。チームもいいけれど、一人の人にじっくり世話してもらうって気持ちが良いものなのだ。
新しいスタイリッシュな店のあしらいもあったと思うが、何より自分が大切に扱われているという感じが良いのである。

考えてみたら、歯医者さんも一人でやっていて(受付の人も、歯科衛生士などもいない)、その時間は1対1の時間なのだった。

私がこうした場所を選んでいるのは、癒してくれる場所だからなんだなあと思う。












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