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インターネット漬けの毎日 [こんなことあんなこと]

年明けに緊急事態宣言が発令され、これまでせっかく松沢病院で実習を受け入れてもらえていたのに、オンライン実習に切り替えられることになった。

昨年の最初の緊急事態宣言のときも同じくオンラインになったが、すでに精神科病院での実習が済んだ4年生の総合臨地実習(3週間)ということで、
自分の関心のあるテーマについてネットサーチをしてプレゼンしたり、オンライン体験グループをやったりして、予期した以上に成果が感じられた。

今回は未実習の3年生で、精神科病院がどういうところか、そこに入院している患者さんがどのような人たちなのか、想像もつかない学生たち。
学生も大変だが、指導する方も大変。

それに、朝の10時から12時、午後も13時から17時ごろまで、Zoomとつながっている。
2週目に入り、2日目からは学生の個人ワークやグループワークの時間は、教員は入らないでよくなって、自分の仕事ができるようになって、ちょっとほっとしている。

おまけに、画面の顔が真っ黒けにならないように、ずっと遮光カーテンを引いているので、何日も日を浴びずに、座りっきりでいるので、骨粗しょう症になるのではないかと心配になる。

そんなとき、アンデシュ・ハンセン著『スマホ脳』(新潮選書)という衝撃的な本を読んだ。
著者はスウェーデンの精神科医である。
原題は、『スクリーン脳』。
スクリーンとは、スマホだけでなく、タブレットもパソコンも含めてのデジタル画面のことを指す。

要は、「人間の脳はデジタル社会に適応していない」という内容だ。
スウェーデンでは大人の9人に1人が抗うつ薬を服用しているらしい。
日本同様、スウェーデンでも、人の睡眠時間が短くなっているという。
それがスマホなどのデジタルツールのせいだとしたら…。

日本でも、今やスマホ依存外来などを設置している大学病院もあるようだが、
なぜ、人はスマホを手放せないのか。

たしかに、レストランでおいしい食事をしているはずの家族づれやカップルが、話もせずに互いにスマホやタブレットに見入っている光景はよく見る。

大学でも、授業中はスマホを禁止していたのだが、今では机の上に堂々と出していて、講義で聞いたことについて、すかさずスマホで検索しているのだ。研修会でも、けっこうスマホですぐ調べて教えてくれる参加者がいる。

私も、検索したくなる気持ちはわかる。
メールが届いていないか、着信音がすると、すぐに確かめたい。
フェイスブックに何か記事を書きたい。書いたら、「いいね」やコメントが返ってこないかと気になる。
今や、WHOも「私たちはウィルスの感染拡大(パンデミック)に付随して、インフォでミックにも襲われている」と警告しているそうだ。

でも、なぜなのか。

それは、人間の脳の仕組みと関係しているというのだ。
人間の脳は、危険から身を守るために進化してきた。
そのため、もともと新しい情報を求める性質があるのだという。
そして、検索してすぐに新たな情報が出てくると、ドーパミンの分泌が促される。
つまり、スマホは私たちの最新のドラッグだというのである。

長い人類の進化の歴史から見ると、あっという間にこれほどのデジタル技術の進化があり、危機に対応すべく組織されてきた脳神経や免疫などのシステムが適応しきれなくなっているというのだ。

スマホがあるだけで、人間の集中力は下がり、記憶力も落ちる。
たしかに、こうやってブログで記事を書いていても、意外と書いた内容について覚えていないことが多くて、自分で過去のブログを読み直して、初めて読んだように面白いと感じることがあるのだ。自分が書いたものなのに。
年相応に記憶力は若干落ちてはいるが、それほどとは思えないのに、不思議だった。

手書きでメモしているより、デジタルな記録の方が記憶に残らないらしい。
保存したら安心して、何を保存したかを忘れてしまう。でも、どこに保存したかは覚えているらしい。

なので、スウェーデンでも子どもたちのIQが下がってきているというのだ。これまでは、年々上がっていたというのだが。
あと、感情知性も低下しているというのが怖いところだ。
人の気持ちがわからない。発達障害が増えているのも、ひょっとしたらSNSの影響かも。
トランプがあれほど多くの人を引き付けるのも。

だから、スティーブ・ジョブスは自分の子にiPadを持たせなかった。

それを考えると、日本はIT化が遅れていると嘆いているのは、とんだ勘違いかもしれない。
コロナを機に、小学生からパソコンやタブレットを一人に一台もたせる学校が、日本でも出てきていると聞いた。
それは、子どもたちにドラッグを与えているようなものだとしたら、空恐ろしい。






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