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子どもを持つママたちのための応援歌 [本のはなし]

いつも時間が過ぎるのが早すぎると嘆いているけれど、今回ばかりは信じられないほどの速さ!
前回紹介した中国ドラマ「バーニング・アイスー無証の罪」は終わってしまった!

最後の2~3回の急展開は、想像を超えるものだった。
菊池桃子似のヒロインと同級生で、法律事務所に勤める弁護士の卵は、ずっとさえない男の子だったのだけど、ここでぐっと変身!
その演技力ったら!驚くべきものだった。
そういう意味では、捜査にあたる規格外の刑事役の男性俳優も。
この人が主役だったんだねえと後で納得。

それにしても、中国で連続殺人鬼のドラマなんてね。
法律事務所の所長も、女たらしの金の亡者だし…。
バッグの中から紙幣の束をまるめた大金がでてきたり、
その大金と引き換えに殺人を引き受けるプロの殺し屋のサイコパスなんか、まるでアメリカのドラマじゃないの。
社会主義はどこへいっちゃったんだ?

いやいや、こんなことを書くつもりではなかった。

今日は、加納朋子さんの『我ら荒野の七重奏(セプテット)』(集英社文庫)を紹介するんだった。

これはかの、日本初のPTA小説『七人の敵がいる』の続編。
七つながりですね。
今回は、出版社の編集者、山田陽子の一人息子、陽介も小学校6年生となり、突然、私立高校に進学したいと言い出すところから。
クラリネットを演奏する先輩を見て、すっかりその後を追いたいという気になったのだった。
小学6年からのお受験では、とうてい合格するはずもなく、公立高校の吹奏楽部に入ることになるのだが…。

つまり、今回はPTAではなく、中学のクラブ活動が舞台。
そう、スポーツであれ音楽であれ、今の学校の部活は、本人だけでなく親が大変なのだ。
その顛末。
いつものように、ブルドーザーと悪名高い陽子、他人のことには共感能力はゼロなのだが、息子のことになると敏感に反応して後先考えず、突進していくのだ。
それでも、経験から少しずつ学んでいく。

彼女とて、だてに長年キャリアウーマンをやっているわけではない。人を見る目は確かだし、マネジメント能力は抜群なのだ。
もちろん、そんな陽子にも見通せない能力をほかのママたちも発揮するのだけれど。
今回は、保護者にママたちだけでなく生徒のおじいさんが登場。
風貌がゴルバチョフに似ているところから、ゴルビーと呼ばれることになるおじいさんだが、
なかなか良い働きをするのだ。

学校という組織と保護者との関係や、保護者同士の関係など、コンサルテーションのテキストとしても大変興味深い小説である。
これと双璧をなすのは、今野敏の『任侠シリーズ』だな。
出版社から、高校、病院、そして銭湯と、さまざまな組織に任侠の一家が入り込んで、次々と問題を解決して解決していくというシリーズ。

世間からは白い目で見られるようなはずれ者が、コチコチに固まって機能不全に陥った組織を再生させていくというパターンでは、共通しているかな。
陽子さんは、そこそこ社会では成功しているキャリアウーマンだし、はずれ者というのは言い過ぎだけど、世間の常識にはなじまないどころか、反発を感じるという点でははずれ者なのだ。
常識的なママからは、<狂犬>と思われたりするほどの。

『荒野の七重奏』というタイトルは、当然ながら黒澤明監督の名作「七人の侍」を西部開拓時代のメキシコに舞台を移してリメイクした『荒野の七人』を連想させる。

子どもを持つお母さんたち、お疲れ様です。
このシリーズを読んで、少し癒されて欲しいものです。
 






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